日本魚類学会若手の会は、魚類学にたずさわる若手研究者間の交流と研究の促進を目的として2019年に設立されました。現在は日本魚類学会公認の任意組織として運営されています。

運営体制(世話人会):会長、副会長、庶務(2名)、会計

会員数:44名(2020年5月21日現在)

 

はじめに

2019年2月10日付で、日本魚類学会(以下、魚類学会)に若手の会を設置することが承認されました。ここでは同9月20日にキックオフシンポジウムで紹介した若手の会の概要をベースに、われわれ若手の会として重要性が高いと捉えているいくつかの課題と、若手の会の設置意図について説明していきます。

 

研究者を取り巻く状況

研究者全体を取り巻く状況(社会情勢)は年々厳しさを増しています。日本全体で学術論文の総数や影響力の大きい論文数が減少しており、これは他の先進国と比較して異様だと言えます。研究予算に占める、いわゆる競争的資金の比率が増加し、基盤的資金に基づく安定した研究が困難になっているのです。競争によらない基盤的な資金の減少は自ずと大学・公的機関における研究ポストの減少をもたらし、不安定な任期付雇用の増加につながっています。こうした任期付雇用形態の増加や基盤的資金の減少は、研究者を近視眼的にさせ、学術界全体の退縮、ひいては国力低下につながることが懸念されています。魚類学においてもこの影響は確実に生じています。学費の上昇や先の見えない研究業界が知的好奇心を奪い、修士・博士課程進学の道を諦めさせている現実があります。かつて、多くの学生・院生が薫陶を受けてきた各地の名だたる研究室も、次第に萎みつつあるように見受けられます。

 

魚類学会の若手会員を取り巻く状況

今日の学生には、研究者への道に生えているのは茨どころではないように見えるかもしれません。研究に対する漠然とした不安だけでなく、修士・博士課程に進学するための生活資金・研究資金といった現実的なさまざまな負担ものしかかってきます。博士課程については日本学術振興会の特別研究員(DC)制度があるとはいえ、その採択率は必ずしも高くはありません。修了後も安定した職に就くまではつねに任期とポストの問題を抱え続けます。そのため、現代の若手会員は研究以外の多くの課題に向き合わなければなりません。

魚類学会には多くの「魚好き」の学生が毎年入会し、さかんな研究活動を展開しています。一方で、卒業・修了後も会員として籍を残す若者はきわめて少ない現状があります。アカデミックな道を選ばなければ、卒業とともに魚類研究の世界との縁が切れてしまうのです。しかし、魚類学会が社会へ果たす役割を考える上で、こういった魚類研究の研鑽を積んだ、あるいは魚類学に関心を持った市民や在野の研究者、愛好家の存在は、大学等の研究者が減少する中で、今後さらに重要性が高まっていくと考えられます。

若手間交流の必要性

魚類学会は設立から50年が経過し、1000名を超える規模となっています。年次大会(年会)では毎年300から400名の会員が参加し、発表題数は150題前後にもなっています。本来、年会は最新の研究成果の発表やその聴講だけでなく、新たな出会いやさまざまな情報交換の場でもあります。ところが、皮肉にも魅力的な発表の多い魚類学会の年会では、おのずとそのような時間が限定されてしまう状況にあります。会期中には懇親会が行われますが、その時間は短く、しかも大学や研究グループといった、顔見知りで固まってしまう傾向にあります。したがって、特に零細の研究室に所属している学生や、社会に出た若手、新たに飛び込んできた若手の交流機会は十分ではないでしょう。地域によっては地方研究会があるところもありますが、若手の交流機会は総じて限定的といえます。

昨今の情勢を考えてみると、今後ますます、競争的資金の比率は高まり、研究費を得ることが難しい時代がやってくることは想像に難くありません。分野内外で協同して、横断的な大型の研究費を勝ち取っていく必要も生じてくるでしょう(すでにそうなっているかもしれません)。そのためには、若手間のネットワークを早い段階から構築しておく必要があると考えています。

 

もうひとつ、我々として懸念を抱いているのが、若手が知識や経験を得る機会の減少です。元来、学生会員は研究室という組織の中で、指導教員のみならず、研究室所属のポスドクや大学院生からさまざまな知的訓練を受ける機会に恵まれてきました。その中には、研究のいろはや論文執筆など、多様なノウハウが内含されていたでしょう。ところが、近年の修士・博士課程の減少や研究室の縮小によって、このような機会は徐々に失われていると考えられます。このような現状は、指導教員が研究室運営のための予算獲得や学内外の諸事によって年々時間を奪われている中で、魚類学全体の将来的な知的水準の低下を招きかねません。こうした状況の解決は、学会を挙げて取り組んでいかなくてはならない長期的課題です。

若手の会の意図

ここまでに、研究者、若手会員の抱える課題について概説してきました。若手の会としては、特に人的交流の促進や情報交換のボーダーレス化、知的水準の維持・向上による持続的な魚類学の発展を目的とします。その手段として、平時のメーリングリスト等による情報交換や、年に1、2度程度の勉強会、交流会を当座行なっていきます。目的達成のために、よりよい取り組みは積極的に、試行錯誤的であっても取り入れ、本会会員が刺激を受けあいながら主体的に魚類学の活動を行うことのできる環境実現を目指していきます。

 

日本魚類学会若手の会規約

制定令和元年10月22日 規約第1号

第1章 総則

(本会の名称)
第1条 本会は、日本魚類学会若手の会(英語表記 ISJ Young Researchers Association)と称する。

(設立)
第2条 本会を平成31年2月10日より設立する。

(所在地)
第3条 本会の事務局は、会計担当者の所属する研究機関内に設置する。

(目的)
第4条 本会は、魚類学を志す若手研究者・学生の分野横断的な交流を促進し、魚類学および自然科学分野のさらなる発展に寄与することを目的に設立するものである。

(活動)
第5条 本会は、第4条の目的を達成するために、以下の活動を適切におこなう。
(1)ウェブサイトおよびメーリングリストでの情報発信および情報共有
(2)魚類学および周辺分野に関するシンポジウム、セミナーおよび勉強会の開催
(3)その他本会の目的を達成するために必要な活動

(運営細則)
第6条 本規約の実施に必要な事項は、本規約で定めるもののほか、本会世話人会の決議を経て、別に定める。


第2章 組織
(世話人会の構成)
第7条 世話人会役員は、会長1名、副会長1名、会計幹事1名、および庶務幹事で構成される。庶務幹事には人数制限を設けず、状況に応じて決定することができる。

(世話人会役員の任期)
第8条 役員の任期は、安定した運営を最優先事項として原則2年を超えない範囲とし、就任および辞任時期に制限を設けない。ただし、辞任又は任期満了後であっても、業務の引き継ぎが完了するまでは後任者を補佐する義務を負う。連続しての再任は認めないが、前回の任期から1年以上経過した場合は再任を認める。

(世話人会役員の選任)
第9条 次期役員の選任は、現役員が協議した上で任命するものとする。

(世話人会役員の報酬)
第10条 役員の職務に対する報酬は、無報酬とする。

(世話人会役員の職務)
第11条 会長は、本会を代表し、会務を総括する。
2 副会長は、会長を補佐し、必要に応じてその職務を代行する。
3 会計幹事は、本会の会計業務を執行する。
4 庶務幹事は、本会の安定的な運営に係る業務を執行する。
5 前項に掲げる職務の他、次の各号に掲げる業務を遂行しなければならない。ただし、会計幹事を除いて役職によって担うべき業務を指定しない。
 一 ウェブサイトおよびメーリングリストの維持管理
 二 会員情報の管理
 三 日本魚類学会との調整業務
 四 イベントの企画・運営
 五 年一回以上の世話人会議の開催


第3章 会員
(会員の資格)
第12条 本会の会員資格は、日本魚類学会に属する若手会員で、かつ第4条の目的に賛同する者とする。ただし、本会で示す若手会員とは、「学生会員」、「40歳以下」、「45歳以下で正規職員でない」のいずれかの要件を満たす者とする。
2 前項で掲げる「学生会員」とは、日本魚類学会における学生会員とし、大学、大学院、専門学校、高等学校およびこれらに準ずる教育機関に在学する者とする(研究生等を含む)。


(入会および退会)
第13条 会員になろうとするものは、世話人会の定める入会手続きを行わなければならない。
2 会員は、世話人会に申し出ることにより随時入会することができる。
3 会員は、第12条で掲げる会員資格に該当しなくなった場合、または退会の意思を世話人会に申し出た場合に、その当該日の属する年度の3月末日をもって退会となる。
4 世話人会は、会員の入退会に制限をかけることはできない。ただし、本会運営に支障をきたすと判断される場合はこの限りでない。

(本会活動への参加)
第14条 本会会員は、本会が運営するウェブサイトの会員向けサービスおよびメーリングリストの利用、本会が開催するイベントへの参加が認められる。
2 本会会員でない者は、本会が運営するウェブサイトの会員向けサービスおよびメーリングリストの利用はできない。ただし、本会が開催するイベントについては、イベントごとに定められる参加条件に応じて参加することができる場合がある。

(会費)
第15条 本会は、会費を徴収しない。ただし、会員が本会の開催するイベントに参加する場合は、世話人会の提示する参加費を支払わなければならない。


第4章 補則
(規約の変更)
第16条 規約の変更は、世話人会において過半数の同意を得て行う。ただし、会員に直接的に影響を及ぼす重要な変更であると世話人会が判断した場合には、世話人会での議決の後に、過半数の会員からの同意を得た上で変更するものとする。

附則
この規約は、令和元年10月22日から施行する。
 

young.fish.isj (あっと) gmail.com までご連絡ください。

入会希望の場合は、当該年度の日本魚類学会会員である

ことを確認した上で、以下の情報もお送りください。

・氏名(日本語と英語表記の両方)

・所属

・職位(学生の場合は課程・学年)

・生年月日

・専門分野・分類群(任意)

​・プロフィール写真(本人画像か研究対象のみ可。任意)

・​個人webサイトアドレス(任意)

当webサイトに掲載している写真等の無断使用は固くお断りいたします。

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