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日本魚類学会若手の会は、魚類学にたずさわる若手研究者間の交流と研究の促進を目的として2019年に設立されました。現在は日本魚類学会公認の任意組織として運営されています。

運営体制(世話人会):会長、副会長、庶務(2名)、会計

会員数:95名(2024年03月04日現在)

若手の会発足にあたって
発足にあたって

はじめに

2019年2月10日付で、日本魚類学会(以下、魚類学会)に若手の会を設置することが承認されました。ここでは同9月20日にキックオフシンポジウムで紹介した若手の会の概要をベースに、われわれ若手の会として重要性が高いと捉えているいくつかの課題と、若手の会の設置意図について説明していきます。

 

研究者を取り巻く状況

研究者全体を取り巻く状況(社会情勢)は年々厳しさを増しています。日本全体で学術論文の総数や影響力の大きい論文数が減少しており、これは他の先進国と比較して異様だと言えます。研究予算に占める、いわゆる競争的資金の比率が増加し、基盤的資金に基づく安定した研究が困難になっているのです。競争によらない基盤的な資金の減少は自ずと大学・公的機関における研究ポストの減少をもたらし、不安定な任期付雇用の増加につながっています。こうした任期付雇用形態の増加や基盤的資金の減少は、研究者を近視眼的にさせ、学術界全体の退縮、ひいては国力低下につながることが懸念されています。魚類学においてもこの影響は確実に生じています。学費の上昇や先の見えない研究業界が知的好奇心を奪い、修士・博士課程進学の道を諦めさせている現実があります。かつて、多くの学生・院生が薫陶を受けてきた各地の名だたる研究室も、次第に萎みつつあるように見受けられます。

 

魚類学会の若手会員を取り巻く状況

今日の学生には、研究者への道に生えているのは茨どころではないように見えるかもしれません。研究に対する漠然とした不安だけでなく、修士・博士課程に進学するための生活資金・研究資金といった現実的なさまざまな負担ものしかかってきます。博士課程については日本学術振興会の特別研究員(DC)制度があるとはいえ、その採択率は必ずしも高くはありません。修了後も安定した職に就くまではつねに任期とポストの問題を抱え続けます。そのため、現代の若手会員は研究以外の多くの課題に向き合わなければなりません。

魚類学会には多くの「魚好き」の学生が毎年入会し、さかんな研究活動を展開しています。一方で、卒業・修了後も会員として籍を残す若者はきわめて少ない現状があります。アカデミックな道を選ばなければ、卒業とともに魚類研究の世界との縁が切れてしまうのです。しかし、魚類学会が社会へ果たす役割を考える上で、こういった魚類研究の研鑽を積んだ、あるいは魚類学に関心を持った市民や在野の研究者、愛好家の存在は、大学等の研究者が減少する中で、今後さらに重要性が高まっていくと考えられます。

若手間交流の必要性

魚類学会は設立から50年が経過し、1000名を超える規模となっています。年次大会(年会)では毎年300から400名の会員が参加し、発表題数は150題前後にもなっています。本来、年会は最新の研究成果の発表やその聴講だけでなく、新たな出会いやさまざまな情報交換の場でもあります。ところが、皮肉にも魅力的な発表の多い魚類学会の年会では、おのずとそのような時間が限定されてしまう状況にあります。会期中には懇親会が行われますが、その時間は短く、しかも大学や研究グループといった、顔見知りで固まってしまう傾向にあります。したがって、特に零細の研究室に所属している学生や、社会に出た若手、新たに飛び込んできた若手の交流機会は十分ではないでしょう。地域によっては地方研究会があるところもありますが、若手の交流機会は総じて限定的といえます。

昨今の情勢を考えてみると、今後ますます、競争的資金の比率は高まり、研究費を得ることが難しい時代がやってくることは想像に難くありません。分野内外で協同して、横断的な大型の研究費を勝ち取っていく必要も生じてくるでしょう(すでにそうなっているかもしれません)。そのためには、若手間のネットワークを早い段階から構築しておく必要があると考えています。

 

もうひとつ、我々として懸念を抱いているのが、若手が知識や経験を得る機会の減少です。元来、学生会員は研究室という組織の中で、指導教員のみならず、研究室所属のポスドクや大学院生からさまざまな知的訓練を受ける機会に恵まれてきました。その中には、研究のいろはや論文執筆など、多様なノウハウが内含されていたでしょう。ところが、近年の修士・博士課程の減少や研究室の縮小によって、このような機会は徐々に失われていると考えられます。このような現状は、指導教員が研究室運営のための予算獲得や学内外の諸事によって年々時間を奪われている中で、魚類学全体の将来的な知的水準の低下を招きかねません。こうした状況の解決は、学会を挙げて取り組んでいかなくてはならない長期的課題です。

若手の会の意図

ここまでに、研究者、若手会員の抱える課題について概説してきました。若手の会としては、特に人的交流の促進や情報交換のボーダーレス化、知的水準の維持・向上による持続的な魚類学の発展を目的とします。その手段として、平時のメーリングリスト等による情報交換や、年に1、2度程度の勉強会、交流会を当座行なっていきます。目的達成のために、よりよい取り組みは積極的に、試行錯誤的であっても取り入れ、本会会員が刺激を受けあいながら主体的に魚類学の活動を行うことのできる環境実現を目指していきます。

規約
若手の会規約

日本魚類学会若手の会規約

 

制定 令和元年10月22日 規約第1号

改正 令和3年2月25日

改正 令和3年10月10日

第1章 総則

(本会の名称)
第1条 本会は、日本魚類学会若手の会(英語表記 ISJ Young Researchers Association)と称する。

(設立)
第2条 本会を平成31年2月10日より設立する。

(所在地)
第3条 本会の所在地は、会計担当者の所属する研究機関内に設置する。

           〒130-8606 東京都墨田区江東橋3丁目3番7号
           一般財団法人自然環境研究センター内 日本魚類学会若手の会

(目的)
第4条 本会は、魚類学を志す若手研究者・学生の分野横断的な交流を促進し、魚類学および自然科学分野のさらなる発展に寄与することを目的に設立するものである。

(活動)
第5条 本会は、第4条の目的を達成するために、以下の活動を適切におこなう。
(1)ウェブサイトおよびメーリングリストでの情報発信および情報共有
(2)魚類学および周辺分野に関するシンポジウム、セミナーおよび勉強会の開催
(3)その他本会の目的を達成するために必要な活動

(運営細則)
第6条 本規約の実施に必要な事項は、本規約で定めるもののほか、本会世話人会の決議を経て、別に定める。


第2章 組織
(世話人会の構成)
第7条 世話人会役員は、会長1名、副会長1名、会計幹事1名、監事1名、及び庶務幹事で構成される。庶務幹事には人数制限を設けず、状況に応じて決定することができる。

(世話人会役員の任期)
第8条 役員の任期は、安定した運営を最優先事項として原則2年を超えない範囲とする。
2 役員の交代は、原則日本魚類学会年会において行う。ただし、次の各号に掲げるいずれかの事由が発生した場合、世話人会で協議の上、交代時期を別に定めることができる。
 一 やむを得ない事情により任期中に役員を辞任する場合
 二 新たに役員を補充する場合
 三 何らかの理由により当該年度の年会が中止または延期となった場合
 四 その他不測の事態により年会での役員の交代が困難な場合

3 辞任又は任期満了後であっても、業務の引き継ぎが完了するまでは後任者を補佐する義務を負う。

(世話人会役員の任命)
第9条 次期世話人会役員は、現役員が協議した上で候補者が選ばれ、会長については総会の決議を経て任命されるものとする。
2 任期中に役員が辞任した場合は、役員が協議した上で新役員を補充できる。補欠として選任された役員の任期は、前任者の任期の満了する時までとする。

3 監事は会長、副会長、会計幹事及び庶務幹事を兼ねることはできない。

(世話人会役員の報酬)
第10条 役員の職務に対する報酬は、無報酬とする。

(世話人会役員の職務)
第11条 会長は、本会を代表し、会務を総括する。
2 副会長は、会長を補佐し、必要に応じてその職務を代行する。
3 会計幹事は、本会の会計業務を執行する。

4 監事は会の会計を監査する。
5 庶務幹事は、本会の安定的な運営に係る業務を執行する。
6 前項に掲げる職務の他、次の各号に掲げる業務を遂行しなければならない。ただし、会計幹事、監事を除いて役職によって担うべき業務を指定しない。
 一 ウェブサイトおよびメーリングリスト、ソーシャルネットワーキングサービスの維持管理
 二 会員情報の管理
 三 日本魚類学会との調整業務
 四 イベントの企画・運営
 五 年一回以上の世話人会議の開催

 六 総会の実施


第3章 会員
(会員の資格)
第12条 本会の会員資格は、日本魚類学会に属する若手会員で、かつ第4条の目的に賛同する者とする。本会で示す若手会員とは、「学生会員」、「40歳以下」のいずれかの要件を満たす者とする。ただし、希望者のうち、正規職員でない者で45歳以下であれば、本会の会員資格を有することができる。
2 前項で掲げる「学生会員」とは、日本魚類学会における学生会員とし、大学、大学院、専門学校、高等学校およびこれらに準ずる教育機関に在学する者とする(研究生等を含む)。

(入会および退会)
第13条 会員になろうとするものは、世話人会の定める入会手続きを行わなければならない。
2 会員は、世話人会に申し出ることにより随時入会することができる。
3 会員は、第12条で掲げる会員資格に該当しなくなった場合、または退会の意思を世話人会に申し出た場合に、その当該日の属する年度の3月末日をもって退会となる。
4 世話人会は、会員の入退会に制限をかけることはできない。ただし、本会運営に支障をきたすと判断される場合はこの限りでない。

(本会活動への参加)
第14条 本会会員は、本会が運営するウェブサイトの会員向けサービスおよびメーリングリストの利用、本会が開催するイベントへの参加が認められる。
2 本会会員でない者は、本会が運営するウェブサイトの会員向けサービスおよびメーリングリストの利用はできない。ただし、本会が開催するイベントについては、イベントごとに定められる参加条件に応じて参加することができる場合がある。

(会費)
第15条 本会は、会費を徴収しない。ただし、会員が本会の開催するイベントに参加する場合は、世話人会の提示する参加費を支払わなければならない。

 

第4章 総会

(種別)

第16条 本会の総会は、通常総会及び臨時総会とする。

(構成)

第17条 総会は、正会員をもって構成する。

(審議事項)

第18条 総会は、次に掲げる事項を審議議決する。

(1)規約の変更

(2)解散

(3)事業報告及び収支決算

(4)本会会長の任命

(5)その他会の運営に関する重要事項

(開催)

第19条 総会は、会長もしくは世話人が招集する。

2 通常総会は、年1回開催する。

3 総会は、会長もしくは世話人の判断により、WEB会議システムを用いたオンライン上で行う場合がある。

4 臨時総会は、次の各号のいずれかに該当する場合に開催する。

(1)会長もしくは世話人が必要と認めたとき。

(2)全会員の3分の1以上から請求があったとき。

(定足数)

第20条 総会は、会員の過半数の出席がなければ、開会することができない。

(議長)

第21条 総会の議長は、その総会に出席した正会員の中から選出する。

2 総会の出席者が第20条に定める成立要件に達したとき、議長はその数を報告して開会を宣言する。

(議決)

第22条 総会の議事は、この規則に定めるもののほか、出席した会員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(書面表決等)

第23条 止むを得ない理由のため総会に出席できない会員は、あらかじめ通知された事項について、メール等のなんらかの方法で表決し、又は他の正会員を代理人として表決することができる。

2 前項の場合における第21条及び第22条の規定の適用については、その正会員は出席したものとみなす。

(議事録)

第24条 総会の議事については、議事録を作成しなければならない。

 

第5章 会計

(経費)

第25条 本会の運営に要する経費は、寄付金及びその他の収入をもってあてる。出納は世話人の会計幹事が担当する。

(事業報告及び決算)

第26条 本会の事業報告及び決算に関する書類は、毎年10月中に、会長が作成し、監事の監査を受け、総会の議決を得なければならない。

 

第6章 補則
(規約の変更)
第27条 規約の変更は、世話人会において過半数の同意を得て行う。ただし、会員に直接的に影響を及ぼす重要な変更であると世話人会が判断した場合には、世話人会での議決の後に、過半数の会員からの同意を得た上で変更するものとする。

附則(令和元年10月22日 規約第1号)
この規約は、令和元年10月22日から施行する。

附則(令和3年2月25日改正)
この規約は、令和3年2月25日から施行する。

附則(令和3年10月10日改正)
この規約は、令和3年10月10日から施行する。

附則(令和5年9月1日改正)

この規約は、令和5年9月1日から施行する。

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